<嫉妬侍>

「あー、参った! 降参でござる!」
「やったぁ、野伏せり討ち取ったりぃ!!」
「おさむれぇさまぁ、もっかいやってけろ!」
「あぁ? まぁた俺が野伏せり役かよ?」
「子分文句言うなです」
「こぉらコマチ坊! 俺は子分じゃねぇぞ!」
「おさむれぇさま〜」
「ああもうわかったよ! やりゃあいいんだろ!」


「相変わらずキクチヨは子供らに大人気でげすなぁ」
「そうだな」
「本当に毎日引っ張り凧で……って何さり気無く刀抜いてんですかカンベエ様


カンベエ様がアホの人ですみません。




<勘違い侍>

「お〜いカ〜ンベエ〜」
「何だ? キクチヨ」

 キクチヨに声を掛けられて、カンベエは緩みそうになる頬を根性で押し止めて返事を
した。因みに今は刀の手入れ中だ。

「ちょっと聞きたいんだけどよ……むつむ何とかって何だ?」

 がちゃん、と持っていた刀を取り落とすカンベエ。

「うお危ねぇ! ど、どうした俺何か変な事言ったでござるか?」
「い、いや……それよりどこで覚えたその言葉」
「えーっと、何かキュウタローの奴が」

 キュウゾウの名を出した瞬間、カンベエが光速で刀を携え家の外に消える。

「あ、おい!?」

 慌てて後を追って外に出るが白い背中はもうどこにも見えなかった。

「……何なんだぁ?」

 ワケがわからず首を捻っていると、家の中から声が掛かる。

「キクチヨ。キュウゾウ殿に何と言われたんでげすか?」
「おうモモタロー。それがなぁ、ガキどもに何か新しい遊びがしてぇって言われてよう。
一人で困ってたらキュウタローの奴が来てむつむ……何とかってのを教えてくれた」
「睦む、むつむ……ひょっとして、六つ六指の事では?」
「おー、それだそれ! ……で、何なんだ一体?」

 ぽむ、と手を叩くキクチヨ。シチロージは土間の床に槍の柄で図解を描く。

「こうして碁石を三つずつ交互に使って、先に一列並べた方の勝ちって奴でげすよ」
「ほお」
「別に碁石が無くてもそこらの小石で代用は利くし、単純だから子供らにも簡単至極」
「なぁーるほどなぁ! ありがとよモモタロー!」

 ぶしゅーっ、と蒸気を噴き出して嬉しそうなキクチヨに思わず口元が綻ぶ。

「お安いご用で。……それからあたしはシチロージだって」
「そんじゃーな!」

 喜び勇んで駆けて行くキクチヨを見送って、シチロージはやれやれと溜息をついた。

「ハァ。カンベエ様にも困ったもんだ……」

 今頃とばっちりを受けているであろうキュウゾウにほんの少しだけ同情する。

「……ま、あたしは役得でしたけどねぇ?」



※六つ六指(むつむさし):所謂○×陣取りゲームのようなもの。


お母さんは娘の笑顔で癒されています(笑)。




「レインボー戦隊サムライセブン」
お侍で戦隊モノ。通常特撮主人公は熱血系なので主人公キクチヨ。

主体性に欠けるリーダー(=レッド)に代わってリーダーに任命されたキクチヨこと
サムライオレンジ! サムライロボでノブセリブラックの野望を打ち砕け!
地球の平和を守るため……頑張れサムライセブン! 負けるなサムライセブン!!

因みにメンバーカラー内訳。
赤:キュウゾウ(元リーダーサムライレッド)
橙:キクチヨ(新リーダーサムライオレンジ)
黄:ヘイハチ(メカニック担当サムライイエロー)
緑:ゴロベエ(お色気担当サムライグリーン)
青:カンベエ(司令塔サムライブルー)
藍:カツシロウ(突っ走り担当サムライインディゴ)
紫:シチロージ(美形担当サムライパープル)


思い付いただけの突発設定です。
書く予定は今の所ありません。寧ろ誰か書いt(殴)