「……うぅ…………うぁあああああああん!!」

 レオナルドは困り果てて、とうとう泣き出してしまいました。
 せめて、弟たちがいれば良かったのですが。どんな悲しい事や辛い事があっても、
四人一緒なら乗り越えて行けるのですから。例え四人でなくとも、道連れが一人でも
いればどれ程心強かった事でしょう。

「ひっく、ひっく…………せんせぇ、みんな……おうち、かえりたいよぅ…………」

 その時でした。

「……にゃあ」
「ひゃっ!?」

 突然足元から声がして、レオナルドはビックリして飛び上がりました。
 慌てて見下ろすと、そこには明るい茶色のふわふわ毛玉。

「……にゃんこ?」
「みゃう」

 それはさっき探検した家の中で見た子猫でした。けれど、どうしてその子猫がここに
いるのでしょうか。さっきレオナルドが遊んで貰おうと背中を撫でても、丸まったままで
知らん振りしていましたのに。

「……きれいなおめめだねぇ」

 初めて子猫の目を見たレオナルドは、その不思議な金色に釘付けになっていました。
こんな色の目、見た事がありません。
 頭にそっと手を伸ばすと、大人しく撫でられてくれます。ふさふさの尻尾がゆらゆら
揺れて、気持ち良さそうでした。レオナルドも嬉しくなって、さっき泣いた事をすっかり
忘れています。

「にゃんこちゃん、ここでなにしてたの?」
「にゃーん」

 子猫はまるで返事をするように鳴くと、レオナルドの足にする、と体を擦り付けてから
先に立って歩き出しました。その態度は付いて来い、と言わんばかりです。

「もしかして、むかえにきてくれたの?」

 レオナルドの質問に今度は答えず、子猫は得意そうに髭を戦がせました。





「ああああああッ!!! 何でレオがここにー!?」

 一旦合流する為に我が家に戻った家族の目に入ったのは、ソファの上で丸くなって
いる二種類の生き物。
 ミケランジェロの絶叫に目覚めもせずにぐっすりと寝ています。

「まさか……クランクが見付けてくれた……なんて事は……」
「そのまさか、かも知れんのう」
「……忍者が猫に負けるのかよ……冗談キツイぜ」

 がっくりと肩を落とす弟たちの心労など知る事も無く、仲良く眠りこけるレオナルドと
クランクでした。





     −クランクEND−