<最終兵器菊千代予告編>



「転入生の三船菊千代君だ。皆仲良くするように」
「三船だ、よろしくっ! 気軽に菊の字って呼んでくれ!」
「じゃあ席は……宮口の隣だな。面倒見てやれよ」

それは、ごく普通の出会いだった。

「よろしくな! え〜っと……」
「宮口……久蔵、だ」
「キュウゾウか、カッコイイ名前だな!」

その笑顔に、無性に惹かれた。

「……くれんの? 俺に?」
「ああ」
「へへ……サンキュ。大事にするなっ」
「菊千代。俺は……お前が」

それだけだったのに。

「何で……よりによってお前に見られちまうのかなぁ……」
「菊、千代……?」
「……逃げてくれよ、頼むから」
「菊千代ッ……!!」

世界、最強の兵器。

「何を今更、と思うかも知れんが。後悔していないと言えば……嘘になる」

「彼は……っ菊千代は、君じゃないとダメなんですよ!!」
「俺は菊千代の幸せを、何よりも願っている」

「あの子は理解していますよ……覚悟も、ね」


「菊千代――ッ!!!」
「久蔵……?」

思いよ、届け。